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便秘 constipation

便秘の症状と診断

  • 兎(うさぎ)の糞の様な便を排泄する
  • 硬い便を排泄する
  • 自発的な排便回数が週に3回未満である
  • 便をスムーズに排泄できないために過度にいきむこと
  • 残便感
  • 直腸肛門の閉塞感
  • 排便困難感

以上のような項目の症状をしばしば認めている方が該当します。

便秘の問題点

慢性的な便秘の方は、排便が健常な方と比較して全体的健康感、社会生活機能、心の健康のレベルも低くQOL(quality of life:日常生活の質、生きがい)を低下させてしまうだけでなく、労働生産性も低下していると報告されています。

また、慢性的な便秘の方は、排便が健常な方と比較して心血管疾患リスクとそれによる死亡リスクが1.21~1.39倍上昇したという大規模コホート研究の報告もあります。

パーキンソン病のリスクに関しては、慢性的な便秘の方は、排便が健常な方と比較して2.27倍発症リスクが高いと報告されております。 なお、便秘と大腸がんの発生には現時点では不明です。

慢性便秘症の原因

慢性便秘症には器質性便秘症と機能性便秘症に分けることができます。

器質性便秘症

さらに狭窄(きょうさく)性器質性便秘症と非狭窄性器質性便秘症に分類されます。

狭窄性器質性便秘症:大腸がんなどが発生することにより、大腸のどこかの部位が狭窄(きょうさく:せまくなること)することによって便秘を来してしまうこと。

大腸がん 大腸カメラ検査

非狭窄性器質性便秘症:さらに小腸・結腸障害型と直腸・肛門障害型に分類されます。前者では慢性偽性腸閉塞症や巨大結腸症が、後者では直腸瘤や直腸重積が代表的な疾患です。

機能性便秘症:便秘型過敏性腸症候群とオーバーラップします。

過敏性腸症候群

慢性便秘症の症状による分類

排便回数減少型と排便困難型に分類されます。

排便回数減少型

排便回数減少型はさらに大腸通過正常型と大腸通過遅延型の2つに分類されます。

  • 大腸通過正常型:ストレスの関与が薄く、腸管形態の異常が関与しているとされています。運動不足で腹痛を伴う便秘を来しやすいです。
  • 大腸通過遅延型:ストレスの関与が強いタイプの便秘型過敏性腸症候群や、腸管刺激性下剤を漫然と長期服用した患者様があてはまります。

排便困難型

便排出障害型:学術的にはこのように記載されますが、同意義です。

まず、通常の排便のメカニズムは、蠕動(ぜんどう)運動により直腸付近に便が流入すると直腸壁が刺激され、排便反射が生じます。その後に起こる蠕動運動で肛門付近まで便が下りてくることで、脳は便意という信号を感じます。便意を感じると人はトイレに行き、肛門周囲の筋肉が弛緩して(:ゆるんで)便が肛門から排泄されます。

便意を催しても何らかの理由で我慢してすぐにトイレに行けなかったりすると、便意という信号は一時的なものですから、適切な排便のタイミングを逸してしまうと便意という信号は消失してしまいます。つまり、便意を感じなくなると、体は排便行動を起こす動機がなくなってしまい、肛門付近の便が排泄されることなく溜まっていってしまいます。

慢性便秘症の原因となる基礎疾患

便秘症の原因として基礎疾患が引き金になっていることもしばしばあります。以下に列挙します。

  • 代謝系疾患:糖尿病
  • 内分泌疾患:甲状腺機能低下症(橋本病)、副甲状腺機能亢進症
  • 膠原病:全身性強皮症、皮膚筋炎
  • 腎疾患:慢性腎不全
  • 神経系疾患:パーキンソン病、多発性硬化症、脳血管疾患、脊髄障害
  • 精神疾患:うつ病、統合失調症
  • 痔核、裂肛(切れ痔)

便秘の検査

大腸カメラ検査:大腸がんなどの器質的疾患の有無を調べる必要があります。長期内服治療に入る前に、行っておくことを推奨いたします。

大腸カメラ検査

便秘の治療

まず、原因となる基礎疾患や大腸がんなどの器質的疾患がないかを検査した後に以下の指導をいたします。

  • 規則正しい生活リズムと十分な睡眠の確保
  • 食事に関して十分な時間をかけて、しっかり咀嚼(そしゃく)して飲み込むようにする。
  • 有酸素運動
  • 毎日、トイレに座る十分な時間を確保
  • 低FODMAP食品についての誘導
  • キウイフルーツやプルーンなどの有効性に関してエビデンスのある食品の摂取
  • お米や豆類、食物繊維の適切な摂取
  • 十分な水分摂取

このようなことを指導した上で、便秘の種類に応じて必要な場合には内服治療を行います。

参考文献)
便通異常症診療ガイドライン2023-慢性便秘症 日本消化管学会