スギ花粉舌下免疫療法(シダキュア)について sublingual immunotherapy
1.舌下免疫療法とは
減感作療法ともよばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から徐々に増量し継続投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を緩和することを目的とした治療法です。当院では「シダキュア」舌下錠を使って治療いたします。現時点で、スギ花粉症を根本的に治す(長期寛解・治癒)ことを期待できる唯一の治療法です。治療期間は3~5年程度とされておりますが、一旦そのサイクルが終了すると、その後少なくとも数年の効果を見込まれます。
2.舌下免疫療法の有効性
現在、スギ花粉症を治すことができる唯一の治療法が免疫療法とされています。ただし、全ての患者さんに効果があるわけではなく、治療をした患者さんの約2割が花粉症の治癒、約3割が大きく改善され花粉症薬の薬が激減した、約3割で症状はあるが改善された、つまる約8割の患者様で有効性が認められたということになります。
3.治療に入る前に
確定診断が必要であるため、当院では問診と血液検査で確定診断をいたします。
4.具体的な治療方法と流れ
治療は、1日1回舌下に薬剤を投与します。投与後は1分間または2分間舌下に保持し、その後飲み込みます。投与後5分間はうがいや飲食を控えます。また、投与前後2時間程度は入浴や飲酒・激しい運動を避けます。投与する舌下錠は徐々に(1または2週間で)増量します。
副作用に対する対応を考慮し、初回投与は医療機関内で行い、その後30分間はクリニック内で待機して頂きます。特に問題なければ2週間分の処方をいたします。翌日からは、自宅で患者様自身が舌下投与しますが、日中や家族のいる場所での投与が推奨されます。
2週間後に再度診察いたします。その際にも問題なければ間隔をかけて再来の予約をいたします。治療期間は2年以上、3~5年が推奨されます。もし投与を長期中断してしまった後、再開する場合は、医師に相談する必要があります。
5.治療開始時期について
スギ花粉の飛散する前後には、安全性が懸念されるため、治療を開始できません。治療開始が可能なのは、6~12月とされています。スギ花粉の飛散が始まる3ヶ月以上前からの治療が効果的とされております。
6.副作用について
- 口の中の腫れ・かゆみ・不快感・違和感
- 唇の腫れ
- 咽喉の刺激感・不快感・違和感
- 耳のかゆみ等
7.重大な副作用について
- ショック
- アナフィラキシー
いずれも頻度は不明ですが、血圧低下、呼吸困難、全身潮紅、顔面浮腫・咽頭浮腫等の血管浮腫、蕁麻疹、喘息等の異常が認められたときには、投与を中止し、救急車を要請するなどして救急医療機関に受診してください。
8.治療の適応とならない場合とは
- β遮断薬使用中
- 重症気管支喘息
- 全身性ステロイド薬の連用、抗がん剤や免疫抑制剤を使用している場合
- 治療開始時に妊娠している場合、もしくは今後妊娠を検討している場合
- 急性感染症に罹患している場合
- 自己免疫疾患の合併症を有している場合
9.治療薬の処方医師について
講習にて処方資格を有している医師が処方いたします。
10.費用負担について
初回の診察・検査等で3割負担の方の場合、約5,000円程度の窓口負担となります。舌下免疫療法のみでの治療の場合、同様に3割負担ですとクリニックと薬局を合わせ約1,800円/月の窓口負担となります。