機能性ディスペプシア ffd
機能性ディスペプシアとは
機能性ディスペプシアとは胃カメラ検査を行っても、胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、逆流性食道炎などの器質的疾患を認めないにも拘わらず、食後の膨満感(胃もたれ)、すぐに満腹になってしまう、胃が痛い(みぞおちが痛い)、胃の熱い感じ(みぞおちの熱い感じ)などの症状を慢性的に有している病態をいいます。
Quolity of life(生活の質)の低下を招くため放置しないことが肝要です。 上記の器質的疾患を除外して、機能性ディスペプシアの診断にいたります。 早めに胃カメラ検査を受けましょう。
胃カメラ検査について機能性ディスペプシアの症状とは
- 食後の膨満感(胃もたれ)
食後に食べ物が長時間残っているような不快な感じです。胃や十二指腸などの蠕動(ぜんどう:うごき)が低下しているためだとされております。 - すぐに満腹になってしまう(早期満腹感)
- 胃が痛い(みぞおちが痛い)
- 胃の熱い感じ(みぞおちの熱い感じ)
機能性ディスペプシアの原因
胃の運動機能の異常によるもの
「拡張不全」、「排出遅延」、「排出早期の排出亢進」の3種類に大別して述べます。拡張不全(かくちょうふぜん)
食べ物が胃に入ってくると、通常は胃の上部が拡張し食べ物を貯留します。 しかし、胃の上部が拡張不全を有していると十分に広がりません。 このような場合には、すぐに満腹になってしまう(早期満腹感)や胃が痛いというような症状を来しやすいといえます。
排泄遅延(はいせつちえん)
胃の中に入ってきた食べ物を、十二指腸に適切に送り出すことができず、胃の中に、食べ物が長く留まってしまうため、食後の膨満感(胃もたれ)を来してしまいます。
排出早期の排出亢進(はいしゅつこうしん)
排出遅延とは逆に、胃の中に入った食べ物が早く、拡張していない十二指腸に送り出されてしまうため痛みやもたれを来してしまいます。
胃・十二指腸の知覚過敏
- 食後の胃の伸展刺激の知覚過敏(いいかえると感覚センサーが反応する感度が低い値になっていることを指します)
- 温度刺激に対する知覚過敏
- 十二指腸の酸に対する知覚過敏により嘔気(気持ち悪い)を来したし、脂肪に対する知覚過敏により腹部膨満感や不快感(気持ち悪い・もたれ)を来します。
心理・社会的要因
生活上のストレスなどの環境因子・社会的要因と不安や抑うつなどの心理的要因も密接に関連しています。
胃酸分泌に関連するもの
胃酸に対する胃または十二指腸粘膜の知覚過敏は、上述しましたが、胃酸の十二指腸流入が十二指腸の蠕動(ぜんどう)運動低下や拡張不全、胃の知覚過敏を引き起こすため、食後の膨満感(胃もたれ)、胃が痛い(みぞおちが痛い)などの症状を呈します。
感染性胃腸炎罹患後に関連するもの
急性の感染性胃腸炎から回復した後も、すぐに満腹になってしまう(早期満腹感)、体重減少、気持ち悪いなどの症状が長期間持続する場合があります。
運動・睡眠・食事内容や食習慣に関連するもの
- 運動不足
- 睡眠障害
- 高脂肪食・小麦・香辛料の強い食べ物
- 不規則な食事パターン:早食い、夜遅くに高脂肪食を摂取するなどの食習慣の乱れ
これらは機能性ディスペプシアの症状を誘発すると考えられています。
機能性ディスペプシアの治療
生活指導・食事指導
- 適度な運動を心がける
- 禁煙
- ゆっくり、よくかんで時間をかけて食事をとる
- アルコールの過剰摂取を避ける
- 睡眠を十分に確保する
- ストレスマネジメントを行う
- 満腹になるまで食べないようにする
薬物治療
- コリンエステラーゼ阻害薬
- セロトニン5HT4受容体作動薬
- 漢方薬
- 抗うつ薬、抗不安薬
参考文献)
機能性消化管疾患診療ガイドライン2021 機能性ディスペプシア(FD)改訂第2版
日本消化器病学会