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過敏性腸症候群 irritable bowel syndrome

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とは、大腸に炎症や腫瘍などの病気がないにもかかわらず、数カ月以上にわたり腹痛がある、腹部膨満感(張りがある状態)などの違和感や、下痢や便秘などの便通の異常が続いている状態のことをいいます。 英語表記のirritable bowel syndromeの頭文字をとって「IBS」とも呼ばれます。

過敏性腸症候群のタイプ

過敏性腸症候群(IBS)は、便通異常のタイプから次のように分けられます。

  • 便秘症状が主となる「便秘型」
  • 下痢症状が主となる「下痢型」
  • 便秘と下痢を繰り返し便通が変動する「混合型」
  • 「分類不能型」

過敏性腸症候群の検査と診断

まずは、問診で症状をお訊きしてから血液検査で炎症性の病気の有無を調べます。 血液検査と大腸カメラ検査で炎症や腫瘍などの器質的異常が除外されてから過敏性症候群の診断に到ります。

過敏性腸症候群の症状

過敏性腸症候群の主な症状には以下のようなものが挙げられます。

  • 会社などのプレゼンの前になると、下痢のためにトイレに行く
  • 起床後、これから出社あるいは登校することに思いを馳せると下痢のためにトイレに行く。
  • 通勤や通学などで、乗車後に腹痛や下痢をもよおしてしまう。
  • 半年以上、下痢を伴う腹痛がある。
  • 半年以上、便秘を伴う腹痛がある。
  • 半年以上、下痢と便秘を繰り返し、腹痛がある。
  • 環境が変わり、ストレスが増強してから下痢を伴う腹痛を感じるようになった。
  • 便意をもよおす時にしばしば腹痛を伴い、排便によって腹痛は消失する。
  • おならがよくでる。
  • 便の形状は、ほとんどがウサギの糞のような、小さくコロコロした形状が多い。
  • 残便感や腹部膨満感(お腹が張った感じ)を感じることが多く、スッキリしない。
  • 出社日や登校日と休みの日と比べると、後者のほうが、便通は良好である。
  • 就寝時には、症状が出現することはほとんどない。

以上の項目に該当する方は、過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。 日常生活の質(QOL)の低下でお悩みの方は、受診をお薦めいたします。

RomeIII診断基準

過敏性腸症候群(IBS)などの機能性消化管障害には、国際的な診断基準に則って、診断プロセスを踏んでいくことになります。 腹痛あるいは腹部不快感について最近 3ヶ月の中の 1ヶ月につき少なくとも 3日以上を占め下記の 2項目以上の特徴を示す

  1. 排便によって症状は改善する
  2. 発症時は排便回数が増加したり減少したりする
  3. 発症時は便形状(外観)が変化し、柔らかくなったり、硬くなったりする

過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群(IBS)の原因ははっきりとはわかっていません。ただし、複数の因子が関係していると考えられています。 代表的なものはストレスです。 精神的な緊張や不安状態によって、消化器症状が増悪するということです。 もうひとつは、腸が知覚過敏状態になることで痛みを感じやすくなるということです。 このような脳と消化管の機能的な関連を脳腸相関と呼んでいます。

過敏性腸症候群(IBS)の患者様は、刺激に対して健康な人より感受性が高く腹痛が起こりやすい状態にあるとされています。 また細菌やウイルスによる感染性腸炎など腸に炎症が起こると、腸の粘膜が弱くなったり腸内細菌が変化したりすることがあり、そのことが腸の運動や知覚機能を敏感にさせることで便通の異常を来してしまいます。 感染性腸炎発症後に10%に過敏性腸症候群(IBS)を発症するという報告もあります。

他にも食物アレルギーが原因となっているとする考えや高脂肪食、カフェイン、乳製品、香辛料、高FODMAP食がリスクになるとされています。

過敏性腸症候群の治療

まずは、生活習慣の改善を提案いたします。 食事指導として脂質、カフェイン、香辛料、乳製品を制限していただきます。 また、欧米ではFODMAPという概念が定着しております。

FODMAPとは

  • 短鎖炭水化物
  • Fermentable(発酵性)
  • Oligosaccharides(オリゴ糖):豆類、小麦、玉ねぎ、ごぼう、納豆 など
  • Disaccharides(二糖類):牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、クリームチーズ など
  • Monosaccharides(単糖類):りんご、すいか、アスパラガス、はちみつ など
  • And polyols(ポリオール):きのこ類、セロリ、さつまいも、キシリトール 、ソルビトール など

この頭文字F,O,D,M,A,PをとってFODMAP食と呼ばれます。 栄養分は本来小腸までで分解・消化・吸収され、大腸では水分を吸収する役割のみを担っています。 高FODMAP食を摂取すると小腸までで分解・消化・吸収されにくくなり、そのような状態で大腸に運ばれ、発酵するなどしてガスを発生し、下痢しやすくなってしまうのです。

つまり過敏性腸症候群の患者さんには低FODMAP食を摂取していただきます。 なお、適度な運動を行っていただいいたほうが、過敏性腸症候群(IBS)の症状を改善するというエビデンスがあります。

薬物治療

下痢型と便秘型に共通の薬物

  • プロバイオティクス
  • 消化管運動機能調節薬
  • 高分子重合体

下痢型

セロトニン-3受容体(5-HT3受容体拮抗薬)

便秘型

粘膜上皮機能変容薬

参考文献)
機能性消化管疾患診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)改訂第2版
日本消化器病学会