大腸ポリープ・早期大腸がんの内視鏡治療 Colorectal cancer Colorectal polyp treatment
Cold snare polypectomy(CSP:コールドスネアポリペクトミー)
高周波電流を使用せず、金属のスネアワイヤーで絞りこんで切除します。腫瘍サイズが10mm以下で、かつ形態が非有茎性(:くきを持たない病変)で拡大観察で腺腫と術前診断された場合に適応となります。切除可能な深さについては、粘膜下層はほとんど取れないためです。この方法で切除可能な病変は限定的です。高周波を使用した内視鏡切除と比較すると後出血などの偶発症が少ない傾向にありますが、両者には統計学的有意差はないというのが現状です。
Polypectomy(ポリペクトミー)
高周波電流は使用しながら、金属のスネアワイヤーで絞りこんで切除します。熱を加えて切除することから、熱を加える時間が長かったりすると切除後の潰瘍底(かいようてい)から後出血(こうしゅっけつ)を来す確率が、cold snare polypectomy(CSP:コールドスネアポリペクトミー)よりも高い可能性があります。
EMR(内視鏡的粘膜切除術)
粘膜下層に粘稠度の高い液体を注入してから、スネアワイヤーで絞り込んでから高周波電流を流して切除する方法です。腫瘍サイズが10~20mm程度の平坦な病変や陥凹型の病変、早期がんなどに適応します。ここからは経験則ですが、形態が有茎性病変(くきを有する病変)にも、cold snare polypectomy(CSP:コールドスネアポリペクトミー)を無理に適応するよりもこのEMR(内視鏡的粘膜切除術)を適用したほうが、術直後かつ後出血も少なく、病変を確実にきれいに切除可能です。
最近は、高周波手術装置を施設として備えていないためcold snare polypectomyしか対応できない施設も増加しているので注意が必要です。Cold snare polypectomyのみで対応できるポリープは先ほど述べたように限定的です。このCold snare polypectomyの適応を超越した場合は、他の施設へ紹介となってしまい患者様にとって再度下剤を内服して仕切り直しをしなければならないなど、肉体的にも経済的にも2重の負担となります。
クリニックで検査を受けるならば、この3種類の切除方法を適宜使い分けるための機械装置・技量を有する施設での大腸カメラ検査を推奨します。
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD):大腸の粘膜下層に粘稠性の高い液体を注入してから、高周波ナイフで病変の外側の全周を切開しながら粘膜下層をはぎとって、病変を一括切除します。出血や穿孔(大腸の壁に全層性に穴があくこと)などの合併症があります。
私は、2009年さいたま赤十字着任してから大腸病変は1,400病変超の先発完投し、穿孔は3例のみで0.02%でした。一括切除率(病変を一切片で取りきる確率)99.8% 完全一括切除率(病変を水平方向・垂直方向ともに陰性で取りきる確率) と良好な成績をおさめました。
病変サイズが5cm以上の場合、内視鏡的に操作性不良の場合は高難度病変の可能性が高いのでエキスパートの治療を受けるのが望ましいと思われます。
当クリニックでは、日帰り手術で大腸ESDに対応(自費診療)いたします。日帰り手術ゆえに適応サイズや肉眼形態などの制限がございます。詳細はクリニックに受診の上で説明いたします。