- 1月 4, 2026
大腸カメラ(大腸内視鏡)検査を、どの施設で受けるか悩んでいる方へ
こんにちは!当ブログをお読みいただきありがとうございます。当院を受診されない遠方の方も閲覧していただきたい内容となっております。
今回は、特に便潜血検査陽性や血便、あるいは40歳以上で大腸カメラ(大腸内視鏡)検査が初めてであるなどの患者様などは、ポリープなどの日帰りポリープ切除術の病変が発見される確率が高いことが想定されます。
しかし、大腸カメラ(大腸内視鏡)検査をうけるにあたってどのような切除方法があるのか、施設によって切除に対するスタンスは様々であることなど、あまり調べないままご受診されている方が多いかもしれません。大腸カメラ検査を受ける前に、自分が検査を受ける施設は、どこまでの切除対応をしてくれるのかを確認してから受診することをお薦めします。
ホームページにも記載があり、以前当ブログで述べたものと重複する内容もあります。
内視鏡クリニックをカテゴリーを4つに分類しました。
①大腸カメラ(大腸内視鏡)検査のみを行っている施設:このような施設で検査を受けた場合には、切除すべき病変(ポリープ)が発見された場合には他の施設へ紹介され、そこでさらに再度初診外来を受診し、下剤を内服して治療を受けるという段取りが必要になります。経済的にも肉体的にも2重の負担がかかりますので、あまり推奨されません。健診センターなどが、このような対応が多いようです。
②10mm以下のポリープに限定して日帰り内視鏡切除術を行っている施設:Cold Snare Polypectomy(コールドスネアポリペクトミー)あるいはCold Forceps Polypectomy(コールドフォーセプスポリペクトミー)という切除方法のみを切除方法としている。高周波手術電源を使用せず、金属のスネアワイヤーで絞りこんで切除します。腫瘍サイズが10mm以下で、かつ形態が非有茎性(:くきを持たない病変)であり拡大観察で腺腫あるいは無茎性鋸歯状ポリープと術前診断された場合に適応となります。後出血や穿孔(せんこう:腸管の壁が全層切除されてしまうこと)などの偶発症が非常に少ないというエビデンスがあります。
③15mm程度まで日帰りで内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行っている施設:内視鏡的粘膜切除術(EMR);粘膜下層に粘稠度の高い液体を注入してから、スネアワイヤーで絞り込んでから高周波手術電源を使用して切除する方法です。腫瘍サイズが10~20mm程度の平坦な病変(横に広がっている病変)、大型の有茎性病変(茎を持った病変)、陥凹型(凹んだ形態)の病変、早期がんなどに適応します。ここからは経験則ですが、形態が有茎性病変(くきを有する病変)にも、Cold Snare Polypectomy(コールドスネアポリペクトミー)やPolypectomy(ポリペクトミー)を無理に適応するよりもこのEMR(内視鏡的粘膜切除術)を適用したほうが、術直後の出血や後出血も少なく、病変を確実にきれいに切除可能です。
④20mm以上であっても、条件次第で日帰り内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行っている施設:内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応病変以外はEMRあるいは内視鏡的分割切除術(EPMR)を行うことになります。当院は④の対応を行っております。
3年以内に大腸カメラ(大腸内視鏡)検査を受けている方は、②の施設で検査を受診されてもよろしいかと思います。
最初に記載した、便潜血検査陽性や血便、あるいは40歳以上で大腸カメラ(大腸内視鏡)検査が初めてであるなど主訴の方におかれましては、最大公約数的な思考をしていただくことを推奨します。最低でも③の施設での治療を想定した大腸カメラ(大腸内視鏡)検査を受診するべきでしょう。
受診される前に、是非簡単にできることを行ってください。
ホームページの医師の経歴(略歴)・資格をご覧ください!そこには、その医師が、どの程度の経験年数なのか?、何の科目を専門としてきたのか?、大規模中核病院で最低でも10年程度勤務してきたのか?などのことが一目瞭然なのです。
内視鏡治療は、短期間で会得できるものではありません。チェックする項目を列挙します。
(1)内視鏡学会の専門医の有資格者であること:必須資格といえるでしょう。これは技術認定制度ではないので、患者様にとって治療技術を保証するものではないものの、内視鏡治療するにあたり「内視鏡学会の専門医は最低限度の免許証みたいなもの」であると考えております。内視鏡学会指導施設で(胃カメラ1000例・大腸カメラ300例・治療内視鏡20例の経験と少ない学会発表等)で取得可能です。これは、症例数が多い、大規模中核施設に勤務していたならば、1年から2年という短期間で達成可能なノルマなのです。
消化管内視鏡スクリーニング認定医とは?:<内視鏡専門医とは別立ての資格であり、検診施設、クリニック等で内視鏡に従事され、内視鏡専門医の取得が難しい方を主に対象とした資格です。内視鏡専門医を取得している方や内視鏡専門医を目指す方は取得する必要はありません。>以上が内視鏡学会における記載になります。私は、内視鏡学会専門医・指導医の資格を有しているので、このスクリーニング認定医を取得しようと考えたことはありません。スクリーニング認定医は、内視鏡治療を行った実績や内視鏡学会指導施設での勤務を必要としていないのです。つまり、検査のみを行うことを想定した資格といえます。大規模中核病院で、多くの症例数を経験する・上級医から技術や知識を吸収するなどの貴重な修練を積むことを行っていない裏返しといえます。スクリーニング認定医が施行した場合には、能力の限界があるため、②10mm以下のポリープに限定して日帰り内視鏡切除術を行っている施設であることが殆どです。この場合には前述した、病変を認めた場合の2度手間のリスクは高いでしょう。
(2)大規模中核病院での消化器内科医・内視鏡内科医としての勤務歴が10年以上あること:内視鏡学会専門医は、当たり前に取得しているべき資格ですので、さらに消化器内科医・内視鏡内科医として深堀りする経験を積んできたかを測る指標となります。消化器内科・内視鏡クリニックの責任者として勤務するあたり、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)などの高度な内視鏡治療を多数経験していると、診断能力に関しても多くのひきだしを有しているでしょう。
昨今、純粋な消化器内科医・内視鏡内科医ではなく総合内科医や外科医からの転身による内視鏡クリニックが乱立しています。この全てを否定するつもりはありませんが、消化器内科・内視鏡に従事する時間が圧倒的に少なかったことは想像に難くありません。
患者様も、自分のお体を大切にされるからこそ「最低限度の予習をされてから受診していただく」ようにしてください。
当院で施行した内視鏡的粘膜切除術(EMR)を施行した2病変を供覧します。
症例1:他院から日帰り内視鏡切除目的で紹介された症例。盲腸に20mm大の平坦な病変を認めます。LST-NG(flat-elevated type)に分類されます。拡大内視鏡では「がん」を疑うVI型ピットパターンを認めませんでした。腺腫病変と考えました。5mm程度の近傍に憩室を合併しております。無条件で内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を適応している施設も多いかと思います。しかし、このような病変は、線維化(:粘膜下層の線維が密に増生していること、しばしば内視鏡治療の困難性を引き起こします)がなければESDの適応などないのです。当院では、内視鏡的粘膜切除術(EMR)により平坦な病変であっても30mm弱程度までは適応としていることが多いです。最終病理診断:高異型度腺腫で切除断端陰性で治癒切除(ちゆせつじょ:取り切れて治っていること)でした。術後も偶発症を認めませんでした。


粘膜下層に局注して、挙上がえられれば内視鏡的粘膜切除術(EMR)の適応となります。

スネアリングするための、適切な場を設定されました。あとはスネアリングするだけです。

エンドカットモードで、短時間で切離することにより切除後潰瘍底に、凝固波による白濁が殆どありません。このように切離すると理論上の後出血のリスクは低くなります。

日帰り内視鏡切除の場合は、大型病変の切除後潰瘍底はclipで閉創します。

症例2:便潜血検査2回法で、2回陽性で受診。SD junction(S状結腸と下行結腸の境界)に腫瘍サイズ30mmの大型の有茎性(くきを有する病変)の隆起性病変を認め、日帰りにて内視鏡的粘膜切除術(EMR)で切除しました。
境界部に非常に存在する大型の腫瘍であったため、視野確保が困難でした。拡大内視鏡で、「がん」を疑うVI型ピットパターンを認めましたが、診断的治療目的で内視鏡的粘膜切除術(EMR)を施行しました。


一つの視野で全貌が追えないレベルの非常に太くて長い茎を有しているので、出血のリスクが高いのは内視鏡医なら即座に理解するでしょう。

操作性不良部位であることと、腫瘍が屈曲部にはまりこむようなポジションで、局注後も術野の確保に苦慮しました。


切除後の潰瘍底:切離直後の出血は、認めなかった。

最大径30mmの「早期大腸がん」で深達度は:粘膜下層;head invasion(頭部浸潤)、脈管侵襲:陰性、簇出:low、切除断端陰性であった。術後の後出血も認めなかった。

このような病変は、④の施設で受診・治療いただければ日帰り切除の対象とはなります。①②③の施設では、病院へ紹介状の発行となるのが必発でしょう。
患者様ご自身での受診されたい施設の関する下調べ(予習)が必要であることがお分かりいただければ幸いです。
次回は、病院で大腸カメラ(大腸内視鏡)検査・治療を受けた場合にどのように対応するのかをテーマにしたいと思います。