• 10月 19, 2025

便潜血陽性の方へ その(2)

お久しぶりです。更新が長らく途絶えておりましたが健康診断などで、便潜血検査が陽性であった場合に、どのような医療機関を受診するべきかということを述べてまいりました。
 先日Yahoo様との対談で「検便」が陽性と判明! どんなクリニックで大腸カメラを受診したらいい?で解説いたしました。リンクを貼り付けておきますので、よかったらご一読いただければと思います。

【医師解説】
https://news.yahoo.co.jp/articles/bab1648f925fb5e91ea7d2ba37571d13a86b8a5d

当院で大腸カメラ検査ご予約いただく場合に、便潜血検査が陽性である場合には、切除すべき病変を認める確率が非常に高いので、当院ホームページでの術後の注意事項を遵守できる日程を選択されるようにお願いします。
なお、大型病変を切除する場合には、安全性確保のために検査中に鎮静を浅くして覚醒した状態にしていただく可能性がありますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。

便潜血検査を主訴に受診された患者様の症例を提示します。


   S状結腸の30mmの大型隆起性病変

    LCIモードにおける弱拡大観察画像

  先ほどの反対側の観察では、不整な微細表面構造が

認められます。よって術前診断では高異型度腺腫

(こういけいどせんしゅ)~粘膜内癌(ねんまくないがん)

を想定しました。

 ここで、治療に対して大きな支障となるのが、大型腫瘍

を栄養するための動静脈がこの茎部(けいぶ:くきのこと)

には存在しているため、術中出血・後出血(こうしゅっけつ)

のリスクは、平坦な病変よりも、高いです。

  実際の手技:粘膜下層(ねんまくかそう)に局注液を

注入後、十分なマージン(切除断端を陰性にするための距離)

を確保してからスネアリング後に、この症例は凝固波で血管

を処理してから、切除(せつじょ)しました。

 切除後の潰瘍底(かいようてい):術直後の出血なく切除

されました。

 切除後の潰瘍底に後出血予防のクリップを追加しました。

この症例は、術中出血および後出血を認めませんでした。

 腫瘍径30×23×10mm 切除標本40×30×10mm

早期大腸癌(そうきだいちょうがん)

深達度(しんたつど):粘膜内(ねんまくない)

分化度(ぶんかど):中分化管状腺癌(ちゅうぶかかんじょうせんがん)

脈管侵襲(みゃっかんしんしゅう):陰性

治癒切除(治癒切除):取り切れて治っていること

Tis(M)N0M0 , Stage0でした。

このような大型病変でも、豊富な内視鏡治療の経験があること

から、可能な限りの安全策を講じて日帰り治療を提供しております。

通常の内視鏡クリニックでは観察のみで終了し、入院治療を

行ってくれる高次医療機関に紹介され、そこで初診外来受診、

入院治療を行うことになるのです。

実際、大型病変を治療していない施設は

遠方の大学病院や、がん専門病院との連携をアピール

していることが多いです。

くれぐれも、便潜血陽性の患者様に限らず、久しぶりに大腸カメラ

を受ける方、初めて大腸カメラを受ける方は、その施設がどの程度まで

日帰り治療をしているのかをご確認いただいた上での受診を推奨します。

また、Yahoo様との対談記事を出稿しました。ご参考にしていただければ幸いです。

大腸カメラは、大腸がん予防のために何歳から受けるべきかご存じですか?

医師が解説
https://news.yahoo.co.jp/articles/20459dc6f22732fb0a6b0eb4eed0eae56d22f554

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